カバン持ちから商売へ

カバン持ちから商売へ

仕事を始めてカバン持ちをしていた頃のお話です

以前、仕事を初めてカバン持ちをやったという事を書いたけど、今日はその当時の話の別の話題を書こうと思う。

仕事を始めた頃
何もわからず宝石業界へ ボクが仕事を初めたのは20歳で専門学校を卒業した年だった。 今の仕事がどう決まったかというと、知らない間に父親が決めていた。 親戚とかほぼ全員が商売人ばかりだったので、商売をするのかと漠然と思っていたけ...

大阪にある宝石の街

カバン持ちをしていて辛かったという事は特になかった。初めて行く得意先もお客さんも社長の元々の知り合いで隣に座っているだけなんだから。足が痛いだけ。
仕事を始めた時なんて、宝石の事も何も分かっていなかったし話なんて右から左だった。

当時社長は55歳くらいで東京にある会社の大阪の支店長だったのを辞めて1人で始めた小さな会社だった。だから、ボクが1人だけの社員という事だった。
当時の事はそんなに覚えている訳ではないけど、今もそうだけど物が集まるのは今も昔も東京で、東京から全国へ出張へ出る。その1つの大きな拠点というのが大阪なのだ。

今でもある古い雑居ビルが事務所

大阪にも宝石の街というのがあって、それが心斎橋やそこに近い長堀橋や東心斎橋が中心なのだ。南船場も含まれていてボクはそこで働いていた。といっても古い雑居ビルでトイレは共同で5万円くらいの家賃だった。今でもそのビルはある。

なぜ、心斎橋付近に宝石業者が多いかと言うと今もある大丸やそごうといった大きな百貨店があり、まずそのテナントに入っている業者が近くに事務所を構え、その業者に関係する業者が事務所を構えた事から始まったらしい。

梅田になると他の他業種も多いし、百貨店のメインは外商なので事務所を構えるにはコストが高いという事だったと思う。
で、うちのような1人や2人でやっている業者が心斎橋、東心斎橋、南船場、長堀橋に集まったという訳だ。

業者との情報交換

話は戻って、東京や甲府、真珠で有名な伊勢などの馴染みの業者はいつも決まったホテルに泊まる。で、朝はホテルの喫茶店か近くの喫茶店でモーニング。その言葉も今じゃ懐かしい。

どの業者も顔見知りで夜もご飯を食べる中だし、得意先も一緒の場合が多い。だから、情報交換も必要だしプライベートの話もしたりとい事で、朝は喫茶店に集まってそういった話をしながら仕事に出発する。

そういった東京や甲府、伊勢などの業者の話を聞いたり、大阪の情報を教えたりと言った話を喫茶店でするのだ。だいたい毎月決まった時に大阪に来るのでその頃になるとホテル近くの喫茶店へ行くのだ。

始めはその中の複数の業者から商品を仕入れたりしていていた。仕入れる業者さんは社長の昔からの馴染みで商品の事も知っているけど、売り先へのバッティングがないので同じ商品がないのだ。

商品の仕入れ方法

仕入れというのは石を買い、別の業者で枠を作るという事もあるけど、当時は石と枠がセットされた商品そのものを買っていた。おまけに同じ枠の商品を5本、10本と複数買うのだ。

ロッド買いと言って、売り先は複数あるので同じ商品を複数の業者へ分けて売るからなんだけど、面白いのは例えば始めは10本ある商品が売れてくると7本になった状態でキレイにして、次のお客さんに見せる場合に、「来る前にちょうど出来てきた商品です。」と売るのだ。既に数本売れているのに。

まぁ、どこの業界も同じような事を言ってるんだろうけど。

「まだ湯気が上がってます。」などと白々しい事を言ってお客さんもそれは分かっているけど、大阪の場合そういったコミュニケーションが大事なのだ。

最終的に不良在庫が溜まるんだけど、その処理は後日。

交渉術

仕入れる商品はうちの場合、カラーストーンが多かった。

ダイヤモンドは相場が決まっていて、業者間ではあまり利益が出ないからだったと知るのはかなり後になってからで、その時はダイヤモンドは全然知らなかった。

仕入れの時のやり取りは、基本的に大阪は値引きの文化があるので、重箱の隅をつつくやりとりから始まる。
ルーペで商品を見て色目が悪いとかメレダイヤという脇に留まっているダイヤがクズダイヤだとか、石留めが悪いとか留め方が悪いとかが多かった。

それを売りに来た業者が受け流しながら良い所を話したりして交渉が進む。で、値段の交渉で大阪の場合、まず言い値で買う事はないので、聞いてから「なんぼにしてくれるん?」と始まり「いや~、これは良い商品ですよ。」とか言われながら「これじゃ、値段合わないよ。」「じゃあ、5本買ってくれるならいくらにしますよ。」と言い合いながら計算機を叩いて自分が販売する値段を想定するのだ。

そうやって決まっていって、買う商品を積み上げて最終的な合計金額が出た時点で再び値引き交渉。

簡単に言ってしまえば、相手を会話でかき回して思考を麻痺させ仕留めるといった感じ(^^)

商売を知る貴重な経験

うちの社長は東京出身なのにこういったズル賢さを持ち合わせており、そういった交渉全てをボクが見ている前でやっていた。ボクが今こうやってしぶとく出来ているのはこういった光景を新入社員の頃から見てきたからだった。

その仕入れ時に社長や業者さんから宝石の知識や枠や商品の知識、その商品の良い所や悪い所を教えてもらう事が多かった。
そうやって知識や交渉術を身に着けていったと思う。今となっては数年で勉強する事を1年足らずで身に付ける事が出来ていた。

商売の全てを身に付ける事が出来て恵まれた体験だったと思う。

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