商売を覚えた頃の話を先月くらいに書いたけどそれの続きの話。
仕事を始めた20歳の頃は仕事が嫌だった。今の若者と全く同じく。それに父親と同じ業界で働く事も嫌だったし。
その意識が変わったのは3年くらい経った時だったと思う。
当たり前だけど通勤はラッシュ。満員電車でモミクチャになりながら通っていて、事務所の鍵もボクが開けてた。でも、毎日就業時間のギリギリで会社に着いてしばらくしてから社長が来るという感じ。
とんでもないやつ
今から考えると恐ろしいけど就業時間は9時なのに、本当に1分前とかに着いてた。社長はもっと早く来ているけど、隣の喫茶店で毎朝コーヒーを飲んでいたのだ。
それに、日経新聞を取っていてボクがそれを朝から読んで社長が来ても用事がなければずっと読んでた。
その頃になると毎日毎週のルーティンがほとんど決まっていて、宅配便で届いた荷物を開けて注文商品の出来上がりを宝石鑑別書を作ってもらいに鑑別機関に出向き帰ってくる。そして次の仕事という感じで。
それについても毎日毎週だいたい決まっているから、新しい商品をカバンに入れて鑑別機関や業者に出向き、帰りはコンビニで立ち読み。それも1時間くらいいた事もある。
月末や月初は地方から業者が来るから多少違うものの、本当にほとんど毎日そんな感じだった。
全然怒らない社長
そういう事について、社長は一切なにも言わないし何も聞かれなかった。なんなら用事で携帯に電話があって、「今どこ?」と聞かれて「今コンビニです。」と言っても、「じゃあ、今から○○さんの所に行って○○してきてくれ。」と言われるだけ。
本当に何も言われなかった。今から考えてもとんでもない社員だったと思う。社長が常々言ってたけど、うちの仕事はそんなもんだし、誰かと会えばとにかくお茶に誘え。そして色んな仕事の話をして情報交換しろ。と。
実際はほとんど会わないし、会っても適当に挨拶をするだけだったけど、最終的に結果が出れば何も言わない社長だった。年齢が離れていたし今まで若い子を育ててきたので余裕があったんだと思う。
それでも会社勤めは嫌だった。本当にとんでもない奴だ。
毎日のように「面白ないなぁ。他にもあれとかしたかったのに会社員なんてやってられんわ・・・」と普通に考えてたくらい。。。普通ならクビどころではない。
実際の所は新しく従業員も若い得意先をボクに任せていたので毎日お昼に覗い注文を貰っていたり楽しくやっていたのにも関わらず。。。
東京から社長の友人がやってくる
ある時、いつも東京からやって来る社長の友達が大阪にやってきて、ボクは社長のカバンを持って近くのホテルにいつもの情報交換をしに行ったのだ。
その頃は仕事をして3年ほど経っていたから顔見知りで、「やぁ、本谷くん。元気?」なんて標準語で話しかけられ「はい、元気にやってますよ。」と能天気に挨拶してた。
笑い方が「ガハハ!」って感じで漫画に出てくるような笑い方が印象的なその人は一人で全国を回って大阪を西日本の拠点として回っていた。
社長はその人と小僧の時から同じ業界だったし、一緒に仕事をしていたから毎月商売関係なく会ってコーヒーを飲んでた。
で、1時間ほど経った時、社長がトイレに行きその人と2人になった。と言っても別に緊張をする間柄ではなかったし普通に話していた。
「どうだい、商売は?」と聞かれ「どうですかね?」と答えている自分も失礼だけど、「今どれくらい経つの?」と聞かれたので「もう3年ほどになりますよ。」と答えた時、相手がこちらを向いて、
「じゃあ、そろそろ商売が楽しくなってくる頃だね。」
と笑顔で言われたのだ。その時返事は出来なかったけど、嫌々仕事をしていたのに時々楽しく感じる事もあったから、物凄くドキッとした事を覚えてる。なんだか見透かされたような感じ。
見透かされた気分
そう、嫌々仕事をしていたし、実際嫌いだったけど楽しいと感じる事も多かったのだ。
良い商品を作れた時とか、出張で得意先に100万円くらい買ってもらえた事。自分が選んだ商品を買ってもらえた事や、得意先で喜んだり褒めてもらえた事。
仕入れ業者の人がボクに向けて話をしてくれる事や、認められたりする事が。
そう感じていた時の一言は効いた。相変わらずその人は言った後に「ガハハ」と笑っていたけど。
それから変わったのかと言えば、特に大きくは変わらなかったけど嫌々と感じる事は減ってきたと思う。
でも、そこから楽しくなる仕事が増えてきたように思う。
自分で読み直して思ったけど、普通の会社なら全く通用しないダメ社員だって事かな。。。
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