宝石展示会の思い出

宝石展示会の思い出

宝石展示会とは

経験のある方はご存知だと思いますが、百貨店や小売店が定期的に開催する宝石展示会。今回はこれについて書きたいと思います。

ボクが宝飾の仕事を初めて1年経つか経たないくらいですが、あるお客さんが小売店に出入りをしていて展示会に出ませんか?という話がありました。
ここで展示会というシステムを説明しようと思います。

簡単に言えば、小売店や百貨店に出入りする業者がそのお店のお客さんに直接物を売る会といった趣です。
百貨店の物産展みたいなイメージというと分かりやすいと思います。

ここで大事なのは展示会であれ物産展であれ、販売している店員さんは百貨店や小売店の店員ではなく出入り業者という事です。
百貨店や小売店は主催者という立場で出入り業者が販売員をしているという事ですね。

ボクも初めて説明を聞いた時はよく分かりませんでした。販売員さんが出入り業者なんて思いも付きませんでした。ボクが普段行っていた業務は業者に商品を販売したりしているだけで、実際にお店に立つ事はないんですから。
社長はボクに展示会に行って勉強してこい。といった事を話をしましたが、その展示会のシステムを説明してくれました。当時はさっぱりでしたがこれが業界の裏という事でした。

展示会のシステム

当時ボクが出た宝石展示会は、ある姫路のそこそこ大きな小売店が開催する展示会でした。その小売店が7月の何日から何日までの3日間限定の展示会をホテルで行うから一度見に来ませんか?と過去購入してくれたお客さんに手紙や電話でお誘いするのです。
そして、当日ボク達業者がホテルで売り場を設営し商品を並べ来てくれたお客さんを接客し販売するのです。

そこで、小売店の方がお客さんと一緒に業者の商品を見たり、前もってお客さんが見てみたいといった商品を見て回ったりするのですよ。
お客さんとしては今まで見た事もない量の宝石を見たり、信じられない価格の高級品を見たりする訳です。そして、会場のキラキラとした証明が全てを別世界へと案内するのです。

お客さんは舞い上がってしまう

明るくてキラキラした証明、その下で煌めくジュエリー。普通の人がこんな状態で通常の精神を保つなんて無理だと思います。
色んな商品を見ているうちに、そういえばこんな商品欲しかったとか、こんなデザインの指輪が良いとか、こんな輝きや色のジュエリーって良いなぁと絶対に思います。これは絶対に舞い上がってしまう・・・

ボクだって欲しいクルマを見にディーラーで見るだけで舞い上がるんですから(^^;)

そんな状態の中でボク達のようなプロの説明を聞いていると嫌でも欲しくなってきますよね。それに「特別価格」として、全商品値札の半額とか言われたら「安い!」と思うに決まってるんですよ。
そして、そういった良さそうな商品を数点持って別の机で吟味したりします。そこでさらにひと押しの値引きなんて言われたら買わない訳にはいかない。ここまできたら買い物という名の心理戦ですよ。

もちろん、いっぱいの宝飾品を見たくて本当に欲しい商品に巡り合う事もあるので、一概には言えませんが非日常的な空間である事は確かですよね。

展示会での価格について

一般的にボク達業者間の取引での価格と百貨店やデパート、路面店、そして宝石展示会での価格はそれぞれ違います。
簡単に言えば、ボクのような大卸で10万円だとしたら下記の通りになっていました。

  • 百貨店・デパート:40万円
  • 路面店:30万円
  • 宝石展示会:バラバラだが最低40万円以上

といった感じでした。これを上代価格と言いました。この上代価格から値引きなどをして購入された価格を決定価格と言います。
この決定価格もだいたい決まっていました。下記に書きます。

  • 百貨店・デパート:30万円前後
  • 路面店:20万円程度
  • 宝石展示会:バラバラだが最低20万円くらい

といった感じです。値引きに関しては概ね百貨店だと20%程度になっています。路面店も様々ですが半額程度となっていました。問題は展示会の上代価格と決定価格なんです。

上代価格という幻

実は、宝石のような決まった価格が分かりにくい商品は上代価格は決め放題だったんです。今は知りませんが昔はそうでした。分かる方は分かるかも知れませんが、楽天市場で過去にあった二重価格事件に似ています。
原価10万円の商品を100万円の上代価格にして80%オフとして販売する感じです。宝石の展示会でも似たような事が多くありました。

よく、出入りの業者で展示会に出る人に上代価格を聞くと、今回は3倍、今回は10倍で半額が決定とか、20倍で半額が決定とかの会話が普通でした。
うちのような卸業者には影響はありませんでしたが、決定価格の平均を聞くと10万円が1番の売れ筋価格です。という事が多かったです。10倍が上代価格としたらうちの金額だと2万円とか3万円の商品がメインでした。

ここでよく分かるのは上代価格というのは言い方が悪いですが適当に付けていたという事です。適当というと問題がありますが「全商品半額!」とか「全商品80%オフ!!」というウリ文句を先に決めて上代価格を決めるという事ですね。
こういった事は宝飾業界に関わらずどこ業界でも多くありますから、ボクはこういったウリ文句を全く信じていません(^^;)

結局上代価格とかメーカー希望小売価格というのは意味があるようでほとんどないのです。
全く同じ商品でも展示会の場所によって価格が違う訳ですからね。

卸業者の価格はほとんど変える事が出来ない

こう書くとボクが働いていた大卸の業者も値段が付け放題と思われそうですけど、意外とそうではなくて業者同士の取引の方が目利きが厳しく、地金重量はもちろんダイヤモンドやその他の宝石の品質などもルーペで比べられてしまうのでかなり難しいと思います。
それに百貨店や路面店、展示会に出入りする業者さんがほとんどなので、5千円の価格が上代価格が1万円や2万円といった違いになります。そうなると売れるものも売れなくなるのでシビアになるのは仕方ない事だと思います。

もちろん、ボク達大卸もそうやって宝石や枠を厳しく見ている訳でコスト管理はかなり厳しかったと思います。当然ながら小売店は業者間とは取引量が違いますから(小売店は毎日売れない)、利益はうちより多いかも知れませんが結局似たような感じです。

展示会に出た時の思い出

やっと展示会に出た時の思い出ですが、普段会う事のない一般の素人さんと話したり、同じように出店している業者さんと話したり、全く知らない業者さんと知り合ってお互いの商品のウリを教え合ったりと楽しい事も多かったです。
お客さんと話して購入してもらったり、主催者さんに気に入ってもらってうちの商品を優先して売ってもらったり。
反対に全く売れなくて赤字を出してしまったりと良い事も悪い事も今のネットショップ運営に生きています。

今も直接会うという事もかなり少ないですが、メールなどを通じて話したりしているので過去の経験は決して無駄ではなかったなぁと思います。そして、値段のからくりという事についても勉強になりました。
色々面白い事があったので、また少しづつ目線を変えて話したいなと思います(^^)

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