サイズ直しを希望の方に聞かれます
指輪のサイズ直しってよく希望されるんですけど、稀に「5号大きくしてください。」とか「6号小さくしてください。」とか言われるんです。。。一体何があったというのか?と思うんですけど、違う指に着けたいとかの理由がほとんどなんです。
うちの場合、どんなブランドでも普通の指輪でも修理や加工も引き受けるんですが、実際は指輪を見てみない事には分からないというのが本音です。
そこである程度の目安が付くデザインがあります。例えば下の画像が普通の指輪だとします。上の部分にはダイヤが留まっていたりしたと仮定します。
ダイヤモンドも宝石も何も入っていない指輪であれば、上下なん番までもサイズ直しが可能です。問題はダイヤモンドや宝石が留まっている場合です。
その場合の目安は、指輪の下半分に何も留まっていなければ可能です。
こんな感じです。下半分にダイヤモンドが留まっている場合は、あとに書きます。リングの上に1個だけ宝石が留まっている場合も同じように上下なん番までもサイズ直しは可能です。
それでは上にいっぱい宝石が留まっている場合はどうすれば?
簡単にいえば、ダイヤモンドが一周留められているフルエタニティリングだと作り直し以外サイズ直しは出来ないんです。
問題は下半分は何も留まっていなくても、上にいっぱい宝石が留まっている場合のサイズ直しです。この場合上の部分は触る事が出来ません。大きくしたり小さくしたりすると地金がダイヤモンドを圧迫し、押し出されたり割れたりしてしまいます。だとすればどうすれば良いのか?
そんな場合は指輪の下半分だけを触ります。上はそのままの円のシルエットを維持し、下半分だけを大きくしたり小さくしたりします。
シルエットはおにぎり型だったり卵型だったりします。それでサイズ直しになるのか?って聞かれるんですが物理的に無理をしないでサイズ直しをするとこれしかありません。
真円じゃないと指が入らないのでは?
そう思う人も多いと思います。ボクも初めはそう思っていました。指輪のリングサイズを測るサイズ棒(下の画像)に指輪を入れても、指定したサイズのところには入らないのですから。
でも、指の構造を考えれば分かるんですが、指って「骨の上に肉が付き、皮が覆っている」って構造です。骨は硬く、肉と皮は柔らかい。
そう考えると、指輪の形がどうであれ指に入れると指の肉が広い部分に広がりしっかりと入るのです。サイズ棒や指輪の形と違い指自体は多少縮んだり広がったりするので、真円でなくても入るのです。
こうやってサイズ直しをしています。実は指輪のほとんどはどんな物を作るのしてもサイズ直しを前提にデザインされていて、下半分は何も留めないようにしているんですね。
大量生産品の安いエタニティーリングも地金部分が少しだけ残されていて、サイズ直しが出来るようになってます。その方がお客さんに売れやすいからという理由です。
さて、サイズ直しは上下なん番まで可能なのか
やっと本題。サイズ直しはどれくらいなら可能なのか?地金だけのシンプルな指輪の場合、なん番までも可能です。しかし、上に宝石が留まっている場合は下の部分しか触れないので大きくしても小さくしても上下3号くらいと考えた方が無難ですね。それ以上すると危険がつきまといますし、早かれ遅かれ問題が出てきます。
指輪の下部分に宝石が留まっている場合も基本は同じです。
指輪のサイズは1号あたり1ミリなので3ミリなら大丈夫なのでは?と思われがちですが、3ミリでも小さな指輪からするととても大きな物です。
ただ、どんな物にも例外があります。それ以上大きくしたり小さくしたりしたい場合でも職人さんと相談して大丈夫かどうかを相談したりしています。お客さんはあまりお金をかけたくないという希望がある限り、5号小さくしたいなどの希望にそって無理やりする事もあるんです。ボク達も人間なので出来れば安くしたいんですから。
うちで購入してくれた場合は最悪作り直しをしています。時間はかかりますが綺麗にしたいですし最後まで責任持ちたいですからね。
それでも出来る限り安く早く出来る事を考えます。思わぬ方法で出来る場合もあるし、そんな場合は凄く面白い(^^)
そんな訳で最終的には相談ですが、一応建前の上では宝石が留まっている場合は上下3号程度と考えていた方が良いかもしれませんね(^^)